2011年11月18日金曜日

『恋愛戯曲』スタート

さりげなく再開します(と思ったらモコが再開してました。被った……)。インプロゼミブログです。うつみです。

さて、今日からインプロゼミは鴻上尚史さんの『恋愛戯曲』を始めました。ストーリーはこんな感じです。

全盛期には恋愛ドラマの女王といわれた脚本家・谷山真由美だが、ドラマの脚本を依頼されたものの1行も書けず、若手のプロデューサー・向井正也に自分と恋愛してくれれば脚本が書けると強制恋愛を迫る。

マネージャーの寺田のペースに巻き込まれ了承するも進行のない2人の前に、郵便局を襲撃したという2人組が乱入し自分たちも登場人物として登場させることを要求。しかし向井が来たことも強盗が現れたこともある人物の思惑があった。

恋愛戯曲 - Wikipedia

前々回『ハムレット』をやったときはほぼインプロでやりましたが(上演時間15分)、なんと『恋愛戯曲』では台本を読みました!めずらしい!

2グループに分かれて、シーン1の読み合わせの練習&発表です。

ここではインプロゼミらしく、物語の構造を分析しながら読んでいきました。特に気をつけたのは、登場人物のステータスチェンジです。「この人物は後でステータスが上がるから、ここは下げておこう」「今は相手のステータスが上がっているから、自分は下げておこう」という感じで練習をしていました。

どみんごも言っていましたが、今回これをやってみて、「演劇は音楽と近いんだなー」ということが分かりました。音楽でも「次が盛り上がるところだから、ここは控えめに」「今はあっちの音がメインだから、こっちは控えめに」ということがあります。前者はサビとメロの関係と言えば分かりやすいですかね。

また、戯曲では大きな変化(「私と恋におちてください。」)だけではなく、会話の中で小さな変化もたくさん起きている、ということが分かりました。これは音楽で言うなら、メロの中でもコードは常に進行しているってところですかね。

ゼミの中でどみんごが、佐藤信さんの「戯曲は内容よりもまず構造」という話を紹介してくれましたが、これを聞いて僕は最近読んだスーザン・ソンタグの『反解釈』という本を思い出しました。

『反解釈』(1971竹内書店、1996ちくま学芸文庫・高橋康也、由良君美、出淵博、海老名宏、河村錠一郎、喜志哲雄訳)の意味するところは、要するに作品を様々に解釈することによって、解釈家は作品を変改してきたにすぎない、大事なのは作品をそのまま味わうこと、その外形から理解していくことである、ということです。

スーザン・ソンタグ『反解釈』: 憂愁書架

簡単に言えば「アートとは内容を解釈するものではなく、形式を味わうものなんだぜ」ってことです。これは僕が最近考えるテーマの一つになっています。個人的には、これは頭と体の問題とパラレルな関係になっていて、最終的には一体的なものなのだろうと考えています。

閑話休題。

『恋愛戯曲』を2時間ほどやったあと、残りの1時間弱は久々(2ヶ月くらいぶり?)にインプロをやりました。今日は、今まであんまりやったことが無いインプロシリーズでした。

書きそびれましたが、なんでインプロゼミなのに戯曲をやっているかというと、インプロに若干飽きてきたからです戯曲をやるとインプロがより分かる、というどみんごの提案からです。

インプロでは、まず「マスターサーバント」をやりました。

「二人出てきて下さい」とどみんご。さっと出る僕とゆーこ。「主人と召使いのシーンで、主人は風船で召使いを叩くことができる」とだけ説明し、「では始めましょう」と言い放つどみんご。「え?シーンの目的は?」と尋ねる僕。「それを言わずにやった方が、うまくいかないシーンができるからいい」とどみんご。相変わらずのSっぷり♪

で、実際にやってみるも、ドタバタしてあんまりうまくいかず。

「二人はもう何十年も主人と召使いの関係だと思って」「普通に始めて、相手を観察していれば何かが起きる」とどみんご。

それでやってみると、普通に悪くないシーンができあがる。やる人を変えてみても同様。

「あー、どみんごの(キース・ジョンストンの)インプロはこれだったなー。禅だなー。禅だなー。」と久々に思い出しました。

次にやったのは「45秒」。あることを45秒間しない、というものです。例えば椅子に座ることを45秒しない、とか。言ってみれば引き延ばし作戦ですね。ただし、お客さんを退屈させてはいけません。

これは全員まわしてやってみました。45秒ならわりと簡単にいけますが、3分になったら分からないですね。どみんご曰く、一流になると一時間でもいけるそうです。芸だな、芸。

来週は『恋愛戯曲』の続きです。しばらく『恋愛戯曲』が続きます。


今日のベストシーン
「恋をするのに資格なんて要らないよ」by どみんご

谷山役(恋愛物)に躊躇するゆーこへの言葉。

うつみ